大阪地方裁判所 昭和42年(借チ)46号 決定
〔主文〕本件申立を却下する。
〔決定理由〕本件申立の要旨は、つぎのとおりである。
申立人は、別紙目録記載の土地の上に存する別紙目録記載の建物を、その前所有者藤田哲治から競売により代金三五三万八、〇〇〇円で取得し、昭和四二年八月三一日右代金を支払つた。
申立人は、不動産の売買を業とする会社で資力は充分にあり、相手方に対する賃料等の支払を怠るようなことをしないのは勿論、相手方に迷惑をかけるような事情もなく、申立人が別紙目録記載の土地に対する賃借権を取得しても、賃貸人たる相手方に不利となる虞がないから、右賃借権譲渡について相手方の承諾に代わる許可の裁判を求める。
ところで、競売・公売の場合の賃借権譲渡の承諾に代わる許可の裁判の申立てがいつまでもできるとすると、競落人らは申立時期をおくらせることによつて事実上賃借権譲渡の自由を獲得したことになりかねないので、借地法第九条ノ三第三項により、競売により建物を取得した者が競売代金を支払つたときから二カ月以内に右許可の裁判の申立をしなければならず、その申立前に建物の買受人から土地賃貸人に対し土地賃借権譲渡の承認を求めるため民事調停法による調停の申立がなされたが不成立に終つた場合において、調停申立が競売代金支払の日から二月以内になされていたときは、調停不成立の日から二週間以内に限り賃借権譲渡の承諾に代わる許可の裁判の申立をしなければならない旨規定されており、この期間は、不変期間であつて、伸長又は短縮されない。
本件において、申立人が競売代金を支払つた日が昭和四二年八月三一日であることは記録上明らかであり、同日以降本件申立をした昭和四二年一二月九日に至る間に、申立人が相手方に対し、土地賃借権譲渡の承認を求めるための民事調停法による調停の申立をなし、それが不成立に終つた事実も認められないので、結局本件申立は、前記申立期間経過後になされた不適法な申立であり、却下さるべきものである。(志水義文)